会長✕社長クロストークCROSSTALK

代替わりをして
変わったこと、変わらないこと
会長 宮下照之 代表取締役 宮下貴之

一水工業の社長が、父親の宮下照之から息子の宮下貴之に代替わりしたのは16年前。親子でもある2人が、経営について語り合いました。

代替わりをした当時のことをお聞かせください。

貴之社長私が社長を引き継いだのは28歳のときです。当時は意見の違いで会長とよく喧嘩をしました。

照之会長会議の最中に他の役員の前で取っ組み合いをしそうになったこともありましたよ(笑)。

貴之社長あの頃は自分も若く経験がなかったので、会長の言っていることが理解できていませんでした。自分の考えが正しいと思っていたんです。でも今は、会長の言っていたことがよくわかるようになりました。

20代という若い世代への交代となりましたが、それによって良かった点、苦労された点はありますか。

貴之社長早く譲ってもらってすごく良かったと思います。若かったのでどこにいってもかわいがってもらいましたし、仕事もたくさんいただきました。経営者としては地域の中でも一番年下でしたから、皆さんに本当に良くしていただきました。そして会長が後ろにいてくださったので、困ったときや悩んだときにしっかり相談できたのもありがたかったです。

照之会長若い人と替わるのは先駆的でしたね。今となっては本当に良かったと思います。

貴之社長一方でうまくいかないこともたくさんありました。自分でいろいろなことをやりすぎてパンクしたり。

照之会長あと、私が入れた古い職人ですね。会社を長きにわたって支えてくれた社員たちがいたんですが、彼らが若い社長に反発するもんですから。大変だったかと思います。

貴之社長そうですね。あの頃は私自身結果も残していませんでしたし、やはり会長が雇い入れた方がほとんどでしたので。それでも一生懸命やりまして、話をしたり、一緒に現場に行ったりして少しずつ関係性は変わっていきました。

代替わりして変わったこと、変わらないことがあれば教えてください。

貴之社長私が社長になったとき、新しい経営方針を打ち立てました。その一つが利益をもっと上げていくということで、そのためのさまざまな施策を、役員の皆さんと共に進めています。社員も増えていまして、会長の時代は60人くらいだったと思いますが、現在は100人ほどの方に働いていただいています。

照之会長社長は会社を大きくしていきたいという想いがあるんですよね。私は違う考えなんですが。

貴之社長あまり大きくしすぎるなってよく言われていますよね。確かに人が増えていくと お客様も増えますし、売り上げは増えるけれどそのぶんトラブルも多くなったりしますね。いろいろなリスクがあるので、そこは慎重に進めていきたいと思っています。

それから変わらないことは、「利益を社員に還元する」という想いです。これはもう100%、会長から引き継いでいます。社員の皆さんのおかげで会社が成り立っているということに加え、基本的に2人ともケチって言われるのが嫌なので(笑)。そこは計画の上で、しっかりとやっていく考えです。

この機会に、お互い何か伝えたいことがありましたらお願いします。

貴之社長働いていただいている人たちはみんな、会長と一水工業のことが好きだと思います。そして会社が好きだから、会社のために一生懸命やってくださっている。だからこそ私たち経営者も、社員の皆さんのためにいろいろなことができるのだと思います。こうした伝統が受け継がれているのは素晴らしいことです。

会長には本当に感謝しています。会社を続けていくことが、その感謝を表すことにつながるのかなと思ってずっとやってきましたし、やっぱり問題なく平常な状態で会社が運営されることが一番良いことなのかなとも思っています。

照之会長一つお願いが。昔やっていた正月の(全社員の家族が集まる)新年会、またやってもらいたいのですが。

貴之社長もう長いことできていませんね。ただあれ、300万くらいかかるんですよね(笑)。でも、前向きに検討させていただきます。